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映画の中の日本:3時間目 「ライジングサン」


ジェームズ・ボンドとして活躍したショーン・コネリーが
再び日本との関係が深い作品に主演する
この作品の公開は1993年
2つの作品の間で、日本の評価はずいぶん変わっていたようだ
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「ライジング・サン」

マイケル・クライトンの同名小説の映画化
ショーン・コネリーとウェズリー・スナイプスが主演
「日本の文化」がテーマなのに、舞台はロサンゼルス
つまり、日本人がロスで大手を振って歩くことが
もう当たり前になっていた、ということだ
これは大きな変化だね
良くも悪くも


ロサンゼルスのど真ん中に高層ビルを打ち立てた日本企業ナカモト
その落成式にはロスの著名人が大勢集まっている
そんなパーティのさなかに殺人事件が発生
呼び出された当直の刑事は、日本文化に精通する刑事とコンビを組み
この殺人事件の解決のために奔走することになる
しかし、この殺人の裏には様々な陰謀、政治やカネが絡み合っていて…


という話

冒頭では、日本企業のトップがカネに物を言わせて
アメリカの巨大企業を買収しようとするシーンがある
アメリカ国民の税金で開発した最新軍事技術を、
日本の企業が買収する、という事態は、たんなる会社の問題ではなく
政治や軍事や国際問題とも絡む大きな懸案
日本企業はアメリカにとってそれくらい大きな存在になっていたということ
実際、日米の貿易摩擦というやつは当時大きな問題になっていた
そのころの背景を反映していると言えよう


そういえば、初代「ダイ・ハード」でテロリストに占拠されたビル
あれもロサンゼルスにある「ナカトミビル」だった
大きなビル=日本企業という印象があったのかもしれないね


話の本筋を追うのももちろん面白いけれど、
ショーン・コネリーがウェズリー・スナイプスに語る日本の説明が面白い
「おじぎされたらおじぎを返すこと」
「大きな手のそぶりをするんじゃない
 日本人はそれを威嚇と受け止める」
「MTV文化とは無縁の人間たちだぞ」

極めつけは
「彼らは私たちを先輩と後輩と観るだろう」
「センパイ? なんだそれは?」
「年上と年下が同じ仕事に取り組む時、
 そこには先輩と後輩という関係が生まれる」
「コーハイ? センパイとはつまりボスのことか?」
「ボスではない、教え導く存在だ」

そうだよなー
当たり前のように使う「先輩」と「後輩」という人間関係も
欧米人には奇異なものに見えるよね
だって俺たちも「先輩とはなにか」を上手に説明できないからね


現地の刑事が分かりやすい「反日」なのも大切だ
日本がアメリカに乗り込んでくることを快く思わない現地人は
当時もきっとたくさんいたはずだから
「ここはまだお前たちの国じゃないぞ!」とかみつくくらいならいいけれど
「スシ食うか?」
「水銀を食うくらいなら温度計をかじってやる!」
くらいのやりとりになると、さすがに看過できない人も出てこよう
(もちろん、これは水俣病を揶揄した表現)
でもそれくらい日米関係が緊迫していたのもまた事実なんだろう

接待ゴルフで物事が進展するとか、
目下が目上の泥をかぶるのが普通だ、とか
とにかくメンツを大切にする人間だ、とか
(あと女体盛りを楽しむとか!)
いろいろ日本の奇妙な文化が出てくるんだけど、
今回注目したいポイントはやはり「ヤクザ」
「ブラック・レイン」のときもそうだったように、
日本の裏は「ヤクザ」が支配している、という描かれ方が強い
その「ヤクザ」であることの記号として「入れ墨」が出てくる
一般的な認識がそうなっていたということだろう

この流れはこの後もしばらく続くことになる


それにしてもショーン・コネリー
「フザケルナ、ソコドケ!」
片言がなんとも滑稽…笑
こんなにシブくてカッコイイのに!
by backdraftid4 | 2014-01-31 13:41 | Let's Movie!

by backdraftid4
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